銃のような外観をしたものには、現在も使用される実銃から、歴史的な古式銃、使えないように加工された実銃、トイガンまで、さまざまな種類があります。
たとえば、遺品整理や相続、家屋の整理で銃のようなものが見つかった場合だけでなく、親族から譲り受けた品の種類が分からない場合にも、まず必要になるのが「それが何に分類されるものなのか」という基本的な知識です。
「古式銃」「無可動実銃」「モデルガン」など、名称を見ただけでは違いが分かりにくいものも少なくありません。
日本国内で一般の方が目にする銃や銃型の製品には、主に次の4種類があります。
見た目が似ていても、もともとの成り立ちや現在の状態、所持に必要な許可・手続きは大きく異なります。
このページでは、銃について知識のない方にも分かるよう、それぞれの違いと見分ける際の主なポイントをご紹介します。
| 種類 | ひとことでいうと | 許可・登録など | 主な位置づけ |
|---|---|---|---|
| 猟銃・競技銃など | 現在も使用する実銃 | 所持者本人に対して、都道府県公安委員会による許可が必要 | 狩猟・有害鳥獣駆除・標的射撃用途のみ |
| 銃砲刀剣類登録証付古式銃 | 美術品・骨とう品として登録された歴史的な実銃 | 銃1丁ごとに銃砲刀剣類登録証が必要 | 鑑賞・収集・歴史資料 |
| 無可動実銃 | 実銃を使えない状態にしたもの | 原則として所持手続き不要 | 装飾品・コレクション |
| トイガン (遊戯銃) | 最初から玩具として作られたもの | 一般的に流通している適法品は所持手続き不要 | 遊戯・鑑賞・コレクション |
これは法律上の正式な4分類ではなく、それぞれの違いを分かりやすく理解するための大まかな分類です。
銃について知識がない場合、外観だけで種類を判断するのは難しいことがあります。
手元にある品であれば、銃そのものだけでなく、ガンロッカーや猟銃・空気銃所持許可証をはじめとする所持許可関係の書類があるか、「銃砲刀剣類登録証」が一緒にあるか、箱や取扱説明書、メーカー名などが残っているか、ほかにも同じような品がコレクションとして保管されているかといった周囲の状況も大きな手がかりになります。
特に個人出品の場合には、出品者自身が銃について詳しいとは限りません。 「古式銃」「無可動」「モデルガン」などと書かれているという理由だけで、その分類が正しいと判断しないことも大切です。
銃のようなものを実際に確認する際には、種類にかかわらず、次の2点を必ず守ってください。
銃口は絶対に人や動物に向けないでください。
実銃、古式銃、無可動実銃、トイガンのどれであっても同じです。 冗談や写真撮影であっても、銃口を人や動物に向けることは避けてください。
引き金は引かないでください。
種類や状態を確認するために、引き金を引く必要はありません。 確認中は、引き金に指をかけないことを基本としてください。
「撃つつもりはなかった」「撃てないと思っていた」ということは理由になりません。
たとえるなら、傷つけるつもりがなくても刃物を人に突き付けてはいけないのと同じです。
この2点は、銃の種類を問わず共通する基本的な取り扱いとして徹底してください。
実際に射撃に使用することを前提とした実銃で、発射機能を有しているものを指します。
散弾銃やライフル銃、空気銃などがあり、狩猟・有害鳥獣駆除・標的射撃用途に限り、所持者本人が都道府県公安委員会から必要な許可を受けて所持します。
※ここでいう「空気銃」は、トイガンのエアソフトガンとは異なり、都道府県公安委員会による所持許可が必要な実銃です。
最大の特徴は、現在も狩猟・有害鳥獣駆除・標的射撃用として使用することを前提とした実銃であり、所持者本人が許可を受けて厳重に管理していることです。
猟銃や競技銃には厳格な保管方法が定められているため、一般家庭の部屋や押入れなどから、ほかの品物と同じように突然出てくることは通常考えにくいものです。
専用のガンロッカーや、猟銃・空気銃所持許可証など所持許可に関する書類があることも大きな手がかりになります。
猟銃や空気銃は、所持者本人が1丁ごとに所持許可を受ける必要があります。
これは単に「この銃を家に置いてよい」というものではなく、審査を受けて許可された本人が、その銃を所持・管理するための許可です。
複数丁を所持することもできますが、それぞれの所持について正当な目的や理由があり、使用状況なども確認されます。
また、所持している銃および保管状況については警察による定期的な検査が行われ、使用状況なども継続して確認されます。
これらの猟銃・競技銃などは、専用のガンロッカー (銃を保管するための専用保管庫) に保管し、鍵も所持者本人が管理します。
本人以外の人が自由に触れたり持ち出したりできないよう、厳重に管理することが求められています。
そのため、遺品整理や家屋の整理などで、これまで存在を知らなかった猟銃・競技銃などが多数まとめて出てくるような状況も通常は考えにくいものです。
家族に猟銃などの所持者がいた、ガンロッカーがある、所持許可に関する書類が残っているといった事情が見当たらない場合には、見つかった銃のようなものが、現在許可を受けて所持されている猟銃・競技銃などである可能性は低いと考えられます。
また、猟銃の所持者が亡くなった場合には、所持許可は失効します。 許可証は死亡を知った日から10日以内に返納し、銃についても50日以内に譲渡・売却・廃棄、または相続人が新たに所持許可を受けるなどの対応が必要です。
親族が亡くなり猟銃が残されている場合には、銃や実包、ガンロッカーを自己判断で動かさず、まず所轄警察署へ連絡してください。
火縄銃や幕末期の洋式銃など、歴史的な実銃のうち、美術品または骨とう品として価値があるものとして登録された銃です。
イメージとしては、登録証の付いた日本刀と同じ制度で所持されている歴史的な銃と考えると分かりやすいでしょう。
登録された古式銃には、その銃に対応する「銃砲刀剣類登録証」が交付されています。

まず大きな特徴は、使えないように加工された銃ではなく、製造当時からの発射機能が残された歴史的な実銃そのものであることです。
ただし、実銃であるからといって、猟銃や競技銃のように射撃を目的として所持するものではありません。
古式銃は、美術品・骨とう品としての鑑賞や収集、歴史資料としての保存が中心です。 演武などの限られた場面を除き、通常は射撃を目的とするものではありません。
もう一つの大きな手がかりが、銃と一緒に「銃砲刀剣類登録証」が保管されているかどうかです。
猟銃や競技銃のように、所持する本人が許可を受ける制度ではなく、歴史的・文化財的な価値を持つ銃そのものが1丁ごとに登録される制度です。
そのため、許可を受けた本人だけが所持・管理する猟銃とは取り扱いが異なります。
銃砲刀剣類登録証付古式銃は、日本刀と同じように、登録された品を登録証とともに所持する仕組みで、譲渡や相続によって所有者が変わることもできます。その場合には、必要な所有者変更の手続きを行います。
猟銃のようなガンロッカーでの保管を前提とするものではありません。
古美術品やコレクションとして室内に飾られていたり、箱やケース、箪笥などに保管されていたりすることがあります。
一人の所有者が複数の古式銃を収集することもできるため、遺品整理や家屋の整理などで、数丁、場合によっては多数の古式銃がまとめて見つかることもあります。
古式銃と思われるものが見つかっても、登録証が必ず一緒に保管されているとは限りません。
旧家や蔵、納戸などに長期間保管されていた火縄銃や古い洋式銃が、相続や家屋整理などをきっかけに初めて発見されることがあります。
登録証がない=トイガンや無可動実銃
というわけではありません。
古い実銃が見つかり登録証が見当たらない場合には、これまで登録されていなかった古式銃である可能性も考える必要があります。
登録証の見方や登録証がない場合の手続き、古式銃そのものについて詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
無可動実銃とは、もともと実際に使用するために製造された実銃に対し、銃として二度と機能しないよう発射機能を完全に失わせる加工を施したものです。
小銃や短機関銃、機関銃などさまざまな種類があり、実銃として製造された本体を使用しているため、外観や材質、刻印などには実物そのものの特徴が残っています。
定められた基準に沿って加工され、銃としての機能を完全に失ったものは、銃砲ではなく装飾品として扱われます。

大きな特徴は、トイガン (遊戯銃) のように銃を模して作られたものではなく、もともとは実際に使用するために作られた実銃そのものであることです。
その実銃に、定められた基準に沿って、銃として二度と使用できないようにするための加工を施したものが無可動実銃です。
外観上は実銃そのものですが、現在は銃として使用できない状態になっている
というのが最も分かりやすい特徴です。
銃としての発射機能を完全に失っているため、猟銃・競技銃などのような所持許可や、古式銃のような銃砲刀剣類登録証は必要ありません。
基本的に特別な所持のための手続きをすることなく、装飾品やコレクション、歴史資料として所持することができます。
国内で流通する無可動実銃のほとんどは、海外で所定の加工を施した状態で輸入され、日本国内に入る時点で銃砲ではなく装飾品として扱われます。
そのため、古式銃の登録証や猟銃の所持許可証のような、所有者が個体ごとに保管する公的な書類はありません。
猟銃のようなガンロッカーでの保管を前提とするものではありません。
コレクションとして室内に飾られていたり、棚やケースなどに保管されていたりすることがあります。
一人の所有者が複数の無可動実銃を収集することもできるため、遺品整理や家屋の整理などで、軍用小銃や短機関銃、機関銃などが数丁、場合によっては多数まとめて見つかることもあります。
無可動実銃は小銃・短機関銃・機関銃などが中心です。 拳銃については部品そのものにも厳しい規制があるため、一般的な流通品として見かけることは多くありません。
特に注意したいのは、
動かない銃=無可動実銃
ではないということです。
錆びついている、故障している、部品がなくなっているというだけでは無可動実銃と判断することはできません。
無可動実銃は、定められた基準に沿った加工によって、銃としての発射機能を完全に失っているものです。
また、家や蔵などから古い実銃と思われるものが見つかった場合に、自分で切断や溶接などの加工をして無可動実銃にすることはできません。
無可動実銃の種類や仕組み、歴史について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
トイガン (遊戯銃) とは、実銃ではなく、銃の形や仕組みを模して作られたおもちゃの銃の総称です。
主なものには、次のような種類があります。
圧縮空気や低圧ガス、電動モーターなどの力を利用してBB弾を発射するトイガンです。 サバイバルゲームや射撃遊びなどに広く使われています。
弾丸を発射する機能を持たず、実銃の外観や構造、作動などを再現したトイガンです。 鑑賞やコレクションのほか、専用の火薬を使用して発火音や作動を楽しむ発火式モデルガンもあります。
精巧に作られた製品も多いため、銃について知識のない方には、一見しただけでは実銃との違いが分かりにくいものもあります。
最大の特徴は、猟銃・古式銃・無可動実銃のように実銃として製造されたものではなく、最初からトイガンとして作られた製品であることです。
無可動実銃=実銃を使えないように加工したもの
トイガン (遊戯銃)=最初から実銃ではないもの
という大きな違いがあります。
本体に記載されたメーカー名や製品名、各種表示などが見分ける手がかりになります。
また、箱や取扱説明書、BB弾、フロンガスの缶、炭酸ガスのカートリッジ、専用バッテリーなどの関連用品が一緒に保管されている場合にも、判断材料になります。
法令に適合した一般的なトイガンであれば、猟銃のような所持許可や、古式銃のような登録証は必要ありません。
個体ごとの公的な書類が交付されるものでもありません。
ただし、エアソフトガンなどには対象年齢が設定された製品があり、地域によっては青少年への販売や使用について制限があります。
一般的な趣味用品として広く流通しているため、部屋や押入れ、物置などに普通に保管されていることがあります。
コレクションとして多数所有することもできるため、遺品整理や家屋の整理などで、拳銃や小銃の形をしたものが数丁、場合によっては多数まとめて見つかることもあります。
トイガンの多くは一般的な趣味用品として所持されていますが、古い製品の中には、現在の規制に適合しているか確認が必要なものがあります。
古い金属製モデルガンなどには、現行の規制により、所持や譲渡・売買について確認が必要なものがあります。
また、古いエアソフトガンの中には、改造されていなくても、現在の基準では威力が高すぎて所持できないものがあります。
そのため、遺品整理などで古いモデルガンやエアソフトガンが見つかった場合には、「昔からあるトイガンだから問題ない」と判断せず、メーカーや製品、状態などを確認することが大切です。
非常にまれですが、古い家や蔵、遺品などから、戦前から戦後にかけて、さまざまな経緯で家庭に持ち込まれ、そのまま現在まで残されていた実銃が見つかることがあります。
このような事例は、これまで存在を知られていなかった火縄銃や古い洋式銃が、相続や家屋整理などをきっかけに初めて見つかるケースとよく似ています。 長い間、蔵や納戸、箱の中などに保管されたまま、世代を越えて引き継がれている場合があります。
たとえば、戦前~戦中頃に購入・所持されていた拳銃や旧軍関係の銃のほか、戦後の引き揚げなど当時のさまざまな事情によって国内に持ち帰られたものが残っていることもあります。 古い購入証明書や当時の書類、軍歴に関係する品などが一緒に保管されている場合もあります。
ただし、
昔から家にある銃=現在もそのまま所持できる銃
というわけではありません。
また、非常に古く見えるからといって、銃砲刀剣類登録証付古式銃として必ず認定される銃と判断することもできません。
このようなケースは例外的ですが、猟銃・競技銃、銃砲刀剣類登録証付古式銃、無可動実銃、トイガンの4種類だけでは判断できない古い実銃が残されている可能性もあることは知っておくとよいでしょう。
判断する際には、銃そのものの外観や刻印だけでなく、一緒に残されている書類や品物、保管されていた場所、その家やご家族の歴史も重要な手がかりになります。
たとえば、旧軍との関わりがあった、海外に居住していた、終戦後に海外から引き揚げてきた、以前から銃や刀剣などを収集していた、といった経緯から、その銃がなぜ家に残されているのか分かる場合があります。
こうした情報もあわせて、まずはこれまでご紹介した4種類のどれに当てはまりそうかをご確認ください。 それでも使用可能な実銃である可能性が残る場合には、ご自身の判断で持ち運ばず、所轄警察署へ相談する必要があります。
4種類の違いを見分ける際には、特に次のような思い込みに注意が必要です。
銃について知識のない方が、外観だけですべてを判断する必要はありません。
遺品整理や相続、家屋の整理などで初めて見つかったものについて、実銃なのかトイガンなのかも分からない場合には、まずはこのページでご紹介した特徴や、周囲に残されている書類、保管状況などを確認してください。
それでも使用可能な実銃である可能性が残る場合には、ご自身の判断で持ち運ばず、所轄警察署へ相談してください。
特に、ガンロッカーから猟銃と思われるものが見つかった場合や、古い実銃と思われるものと一緒に銃砲刀剣類登録証が見当たらない場合には、ご自身で警察署へ持ち込まず、まずは電話で相談し、その指示に従ってください。
インターネットオークションやフリマサイトなどでは、トイガンから登録証付古式銃、無可動実銃まで、さまざまな品が出品されることがあります。 しかしながら、ご自宅から見つかった銃を十分な知識がないままこれらのサイトに出品することは、法令上重大なリスクを含んでいます。
ご自宅から出てきた銃を売却や譲渡する場合には、銃砲刀剣類登録証が必要な品ではないか、無可動実銃であれば適切な加工がされた品なのか、トイガンであればメーカーや製品が確認できるか、あるいは現行の規制に適合しない古いモデルガンやエアソフトガンではないかなどの十分な確認を行った上で、出品の可否を判断することが大切です。
これらの確認が不十分な状態で売却や譲渡を行うと、場合によっては所持自体が禁じられている品を販売目的で所持していたと判断され、最悪の場合、刑事罰等が科される可能性があります。
種類や適法性が少しでも疑わしい場合は、自己判断での売却や譲渡は絶対に避け、専門家や警察へご相談されることを強くお勧めいたします。
トイガンでは、本体に記載されたメーカー名や製品名のほか、業界団体による安全マークや認証表示が、製品を確認する手がかりになる場合があります。
ただし、古い製品では現在とは異なる表示が使われていることがあり、中古品では製造後に状態が変わっている可能性もあります。
そのため、安全マークがあるという理由だけで現在の法令に適合しているかどうかを判断せず、メーカー、製品、年代、状態などとあわせて確認することが大切です。