無可動実銃とは、もともと銃砲として製造された実物銃に、溶接や切断、部品の除去などの加工を施し、銃砲としての機能を完全に失わせたものです。実物銃器としての外観や歴史的特徴を残していますが、その法的な取り扱いを考えるうえで重要なのは、「無可動実銃」という名称や外観ではなく、その物がどのような機能・構造を有しているかという点です。警察庁の通達でも、無可動銃について、「機関部を作動不能にし、銃身や弾倉を閉塞するなどして、銃砲としての機能を完全に失わせたもの」としています。
なお、弊社では「無可動実銃」という名称を使用していますが、警察庁の通達では「無可動銃」という名称が用いられています。本ページでは、弊社における呼称を基本として「無可動実銃」と表記し、法令・通達等の内容を引用または説明する場合には「無可動銃」と表記しますが、いずれも同一の対象を指します。
銃砲刀剣類所持等取締法 (銃刀法) では、銃砲等の所持や輸入などについて規制を定めています。無可動実銃についても、「無可動実銃」という名称に対して特別な所持許可制度が設けられているのではなく、その物が現在どのような機能・構造を有しているかが法的な取り扱いを考えるうえでの基本となります。そのため、単に故障している、部品が欠けている、現在発射できないといった状態のみを根拠として、無可動実銃として扱われるものではありません。
なお、拳銃については、銃身、機関部体、回転弾倉またはスライドといった拳銃部品自体も規制対象となります。また、現在の無可動銃認定基準では、拳銃について銃把を除く表面全体を白色または黄色に塗装することも求められています。弊社では、こうした法的な取り扱いと実物本来の外観を重視する方針から、拳銃の無可動実銃は取り扱っていません。
1997年 (平成9年) 12月19日、警察庁から「無可動銃の認定基準について」が通達されました。その後も認定基準の改正・更新が行われ、現在に至っています。
警察庁の「無可動銃の認定基準」では、銃身、薬室、機関部、撃発機構などについて、銃砲としての機能を完全に失わせるための具体的な基準が定められています。現在の通達では、認定基準表を用いて確認を行い、すべての認定基準を満たした場合に限り、無可動銃として認定することとされています。
この認定基準は、警察が「無可動銃」として認定する際の公的な判断基準です。現在の通達では、すべての認定基準を満たした場合に限り無可動銃として認定するとされており、警察による無可動銃としての認定を受けるには、この基準への適合が必要です。
また、通達では各都道府県警察に対し、税関からの照会や、無可動銃の輸入・販売業者等からの相談について、この基準に照らして判断するよう求めています。つまり、主として海外から新たに輸入される無可動銃などについて、無可動性に関する警察の判断を統一するための実務上の基準として機能しています。
日本には1997年 (平成9年) 12月に認定基準が通達される以前から無可動実銃が輸入されており、現在国内に存在するすべての無可動実銃が、現在と同じ方法で加工されているわけではありません。弊社では1993年から日本国内で無可動実銃を取り扱っています。1997年 (平成9年) 12月に認定基準が通達され、弊社では、その基準に基づく運用が実際の輸入品に反映された1998年 (平成10年) を一つの区切りとして、それ以前に輸入された品を「旧加工」、それ以降に輸入された品を「新加工」と呼んでいます。
ただし、1997年の認定基準が通達される以前に弊社が輸入した品についても、警察と税関双方の検査・確認を受けて正規に輸入してきたことに変わりはありません。現在との違いは、検査・確認の有無ではなく、無可動性を判断する具体的な基準や、それに伴う加工方法・運用が現在とは異なっていたという点です。
また、「旧加工」「新加工」は法律上の正式名称でも、特定の加工方法そのものを表す名称でもありません。銃種や構造、輸入された時期、その当時の基準や運用によって加工内容は異なるため、外見上の加工方法だけから一律に旧加工・新加工を判断できるものではありません。さらに、新加工となった後も、認定基準の改正や安全対策の見直しなどによって加工内容は変化しており、同じ「新加工」であっても、輸入された時期によって加工内容には違いがあります。
そのため、過去に正規輸入された品について、現在の認定基準と加工方法が異なるということだけをもって、直ちに銃刀法上問題のある品であることを意味するものではありません。一方で、古い品であることや「旧加工」と呼ばれているという理由だけで、その品の法的な取り扱いが保証されるものでもありません。
由来や加工状態が不明な品については、自己判断せず、慎重に取り扱うことが重要です。
無可動実銃の輸入を理解するうえで重要なのが、警察による無可動銃としての認定と、税関による輸入・通関は、それぞれ目的と役割の異なる確認業務であるという点です。税関は輸入・通関に関する手続きを行う一方、無可動銃としての認定は、警察が認定基準に照らしてその無可動性を判断することにより行われます。警察庁通達でも、税関からの照会や輸入・販売業者等からの相談に対して、各都道府県警察が認定基準に照らして判断する仕組みが示されています。
したがって、税関において輸入・通関が認められたという事実は、それ自体が警察による無可動銃としての認定を意味するものではありません。弊社では、税関における輸入・通関のみをもって、無可動実銃として取り扱うことはありません。
1993年の取り扱い開始以来、弊社はそれぞれの時代の制度や運用に応じて、輸入・通関手続とともに、警察による必要な検査・確認を経て無可動実銃を輸入してきました。現在新たに輸入する品については、日本向けの適切な無可動加工を施し、現行の認定基準に適合させたうえで、警察による無可動銃としての認定を含む必要な確認と、正式な輸入・通関手続を経ています。
弊社でいう「正規に輸入された無可動実銃」とは、必要な手続きや確認を経て弊社が輸入・取り扱ってきた品を指すものであり、単に「日本へ輸入できた」という事実だけを意味するものではありません。
また、海外で「Deactivated Gun」として合法的に販売されていることや、海外の無可動証明書が付属していることだけでは、日本における無可動銃としての認定を受けていることにはなりません。海外から新たに輸入する品の無可動性については、日本の認定基準に基づいて判断されます。
無可動実銃を取り扱ううえでは、銃刀法をはじめとする関係法令を遵守することが大前提です。弊社では、こうした法令上・制度上の要件を満たすことを当然の前提としながら、それだけを安全対策の最終的な到達点とは考えていません。
1993年に国内で無可動実銃の取り扱いを開始して以来、国内外で発生した銃器に関係する事件や事例、制度や社会情勢の変化などから得られた教訓も踏まえ、無可動加工の内容を継続的に見直してまいりました。無可動加工は英国の自社工場を中心とした管理体制のもとで行い、輸入から販売まで一貫して管理しています。
新たな対策が必要と判断した場合には、その内容を次回以降の輸入品へ反映し、輸入の都度、警察・税関等の関係機関への確認・相談を行いながら、加工方法の見直しと安全性の向上を続けています。実際の事例から学び、必要な対策を積み重ねながら安全性を継続的に高めていくことも、無可動実銃を取り扱う専門店としての責任であると考えています。
弊社で販売する無可動実銃は、販売時の状態を変更せず、そのまま収集・鑑賞していただくことを基本としています。
溶接や固定を外す、部品を追加・交換する、切断・閉塞された部分に手を加えるなど、無可動実銃に対する追加加工や改造は絶対にお止めください。
エアガン等の機構を組み込む場合を含め、発射機能の回復を目的としない加工であっても、販売時の状態から構造や加工内容が変更されることで、銃刀法その他の法令上の取り扱いが変わる可能性があります。そのため、「実包を発射できるようにしなければ問題ない」「無可動のままであれば加工してもよい」と自己判断することはできません。
弊社からお求めいただいた無可動実銃については、販売時の状態を維持し、追加加工・改造を行わないようお願いいたします。
本ページは、銃砲刀剣類所持等取締法、警察庁「無可動銃の認定基準について (通達)」等をもとに、無可動実銃に関する制度や考え方を一般向けに整理したものです。
「旧加工」「新加工」および本ページにおける「正規に輸入された無可動実銃」という表現は、無可動実銃の輸入時期、加工、輸入経緯等を分かりやすく説明するために使用しているものであり、法律上の正式な名称ではありません。
また、本ページは、個々の無可動実銃について適法性を判定・保証するものではありません。個々の品の法的な取り扱いは、その構造、機能、加工状態、輸入された時期や経緯等によって異なる場合があります。