- 商品番号:10003
国名:日本
種類:単発式長銃
- 【火縄銃 長州八匁荻野流中筒 (在銘: 銘文: 「武」藤本?太郎治久作) について】
長州藩の荻野流中筒です。 本品の筒 (銃身) は後方に向かってやや広がった丸銃身で、その上面だけを平らにした「表一角」と呼ばれる形です。 銃身前部の最も細い部分の外径は約○○mmで後部の最も太い部分の外径は約○○mmになっています。 銃口部には立派な丸柑子が設けられ、銃口から約35mmに幅広の玉縁と呼ばれる環を配しています。 目当は杉形の先目当、透かしの元目当が設けられています。
本品の銃身には「武」と一文字があり、その下に「藤本源太郎治久作」の銘が堂々と、そして銘の上に「武」の文字、銘の横に「四十之」の番号が鏨で入っていますが、「藤本源太郎治久」名鑑には載っていません。 しかしながら、長州の鉄砲鍛冶と思われます。 銃床の内部に「明治四未ノ七月吉日買之 篠目細野村渡邉長治郎付物」の墨書きと「武具」の焼き印が有ります。 「武具」の刻印は持ち物が多い長者が品物を整理する際に区分する為に押すもので、甲冑など「どう見ても武具」であることが判っている品物にも「武具」の印が付けられていることがあります。 所持者の「渡邉長治郎」が「明治4年にこの中筒を購入した」との墨書きがあるので、どのような人物であったか興味が湧きます。 また「付物」の意味は「その物に当然付属してあるもの。ある物がその機能を発揮するためには欠くことのできない付属品」と言う意味でしょうか。 そうであれば「砲術家が書くことのできない品=鉄砲」となり、「渡邉長治郎」は砲術家であったのではないかと想像が尽きません。銘文の横に「(登録証にあるように) 四十之」 と文字が入っていますが、最後の「之」は漢字ではなく「一種の印」と思われます。尾栓にも「四十」の漢数字が刻まれています。
篠目細野村は現在の山口県山口市阿東篠目字細野の篠目駅周辺にあった村で、江戸時代は長門國でした。 荻野流中筒が特に多く使用された、長州藩と一致しています。
本品のカラクリは内カラクリ (蟹目カラクリ) で、カラクリの地板は後方に長く伸び、地板の後端は丸みを帯びた荻野流中筒の特徴的な形状となっています。 カラクリの地板や胴金、雨覆、火蓋といった部品は真鍮製となっています。 火挟は鉄製となっています。 真鍮製の引金には用心金は設けられておらず、引金後方の銃床下部には強度を増すためのナマコ金 (力金) と呼ばれる真鍮製の部品が取り付けられています。
本品は形状 (庵の背が直線的に真っすぐ下がった台かぶの形状、背高い先目当、台かぶの紐通しの孔など) から上野国 (群馬県) の荻野六兵衛安重 (1613―90年) が興した荻野流と推測されます。 荻野流は江戸時代初期の寛文年間 (1661-1673年) 頃創始された、正木流など十二流派の砲術を極めた、和流砲術の一流派です。 安重の子である六兵衛照清 (てるきよ) は大坂で私塾を持って流派を広げ各藩から入門者が多く、江戸時代を通じて最も流行した。砲術家の坂本天山や高島秋帆 (たかしましゅうはん) を輩出しました。 特に大砲術に力を入れ、荻野流の現存品は中筒 (十匁前後) の品に見られます。 射撃法/火薬調合法/砲丸の種類や扱い方などについて解説した指南書が現存しています。 また高島秋帆が荻野流砲術を基に製作した十匁筒を、 天保10年 (1839) 5月に書き写した「高島所持荻野流拾匁筒之図」が残されており、本品はその図とほぼ同じと言えるほど近い形状をしています。 (MM)
【本個体の説明】
本品の筒 (銃身) は全体に黒錆に覆われていますが、これは当時の日本における防錆方法であった錆付けと同じ処理方法によるもので、欧米のようにブルー仕上げがなかった日本では一般的なものでした。 銃身下部の銘についてはハッキリと確認出来ます。 銃身下部の目釘金具と銃床の目釘穴の位置は一致しており、目釘は付属しませんが、真鍮製の台締金が1個付属しています。 台木にはやや打ち傷や線傷が僅かに散見されますが、全体としては大きな破損等は見られません。 銃身を外して台 (銃床) の状態を見ると使用 (実射) された形跡が殆どなく、160年以上経た時代感は感じられますが、しっかりとした状態が保たれています。 先台全体に角は完全に落とした丸みを帯びた形状(特に前半分は完全な丸状です)です。 台は銃身にに対して非常に浅く、長州筒に多くある作りです。カラクリの地板や胴金、雨覆、火蓋、引金、ナマコ金といった真鍮部品についても、適度な時代感が付いた良い雰囲気となっています。 カラクリの作動については完全で、筋立てされた鉄製の火挟を起こした際のロックはしっかりと掛かり、引金を引くと火挟がスムーズに落ちます。 火蓋の開閉についても問題なく行うことが可能です。 銃身内は銃口から銃身後部まで完全に抜けて (通って) おり、火穴も抜けています。 尾栓については現状固着しており取り外しは出来なくなっています。 木製のかるか (さく杖) が付属いたします。
台木の墨書きがとても興味深い長州藩の荻野流中筒です。 弊社が自信を持ってお勧めできる非常に真面目な品です。 (MM)
※【本個体の説明】は現在作成中です。 後日、加筆/訂正が行われる可能性がございます。本品の程度/状態について詳しくは大阪店までお問合せください。
【登録証情報】
(種別: 火なわ式銃砲、全長: 106.9cm、銃身長: 68.4cm、口径: 1.7cm、銘文: 武藤本?太郎治久作 四十之)
【その他の情報】
昭和46年5月21日に岐阜県教育委員会によって交付された銃砲刀剣類登録証が付いた、完全可動する実物の古式銃です。 無可動実銃ではありません。
古式銃は約160年以上前の古い機械物の骨董品であり、高価な品でございますので、出来ましたら現物をご確認の上、ご購入いただけますようお願いいたします。 無可動実銃とは異なり作動する機械物ですので、作動や仕上げの確認をご自身で行われる事をお勧めいたします。 通信販売でのご購入を検討される方は、詳細画像を十分ご確認いただいた上でご注文ください。
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