- 商品番号:K10258
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- 【火縄銃型管打式 阿波三匁五分細筒 桐鳳凰図真鍮色絵象嵌 (在銘:惣巻張 淡路国住人龍心子義次造之) について】
幕末の淡路島の火縄銃鍛冶であった淡路国住人龍心子義次造之が製作した火縄銃型の管打式の和銃です。 各所に独自のアイデアを盛り込んみ、装飾性にも富んだ品です。 淡州は現在の兵庫県の一部の淡路島を指しますが、幕末は淡路国と呼ばれていた独立した令制国の一つでした。 二十五万七千余石を領した徳島藩藩主蜂須賀家は阿波国 (徳島県) と淡路国 (兵庫県淡路島) の二国を納めていました。現在の淡路島は兵庫県に属しているため、地理的・経済的に播磨国 (姫路・明石など) や摂津国 (神戸・大阪など) との結びつきが強く見えますが、明治時代初期までは伝統的にも政治的にも四国・阿波との繋がりが主流でした。 淡路島が徳島県ではなく兵庫県になったのは庚午事変*の影響と言われています。
*庚午事変は、明治3年 (1870年) に当時の徳島藩淡路洲本城下で洲本在住の蜂須賀家臣の武士が、筆頭家老稲田邦植の別邸や学問所などを襲った事件。
結果的に淡路島の帰属をめぐる重要な事件となり、この事件がなければ淡路島は現在も兵庫県ではなく徳島県であった可能性が高いでしょう。その為、本銃は阿波筒の影響をかなり受けた作品になっています。
本品は全長が1,277mm、口径実測12.8mm (約三匁五分) の火縄銃であれば、細筒 (小筒) と呼ばれるサイズの品ですが、重量が3.7kgと非常にずっしりとした重厚感がある品です。 細筒は主に狩猟用や標的射撃用として使用されました。
銃身は後方に向かって緩やかに広がった八角銃身で、銃口部には阿波筒のような大型の八角柑子が設けられています。 本品の先目当はたんけん形で上部のブレード部分は真鍮製の別部品となっており、阿波筒との違いは阿波筒は八角柑子の後ろ部分に先目当があるのに対して本品は八角柑子の上にあります(これが一般的です)。元目当は非常に凝った片袖です。銃身は銃床に対して3箇所の目釘により固定される構造となっていますが、目釘座は片面5個の合計10個で、各面2個はダミーの飾りです。 銃身の雷管を被せるニップルと呼ばれる部分に特別な真鍮製の「雷管覆」が装備されていますが、とても繊細な作りなので、雑に扱ってしまうと外れてしまう可能性があります。 この「雷管覆」がある為か、ニップルには傷みはありません。
本品の台 (銃床) は元々火縄銃用に製作された品を流用したものと考えられ、火縄通しの穴や火縄消しの穴がそのまま残されています。 銃床の木部には人工的な虎杢が入れられており、高級な作りとなっています。 カラクリについても火縄銃用を改造した物が用いられており、外カラクリ (平カラクリ) の機構をベースに、撃鉄の後端をアーム状の部品を介して地板後方に追加された鉄製の助金 (補助バネ) に連結する事により、通常の火縄銃の火挟に比べて管打ち用にテンションが高められています。 カラクリの地板や弾金、胴金は真鍮製で、撃鉄は鉄製となっています。 撃鉄は火縄銃の火挟からの改造品ではなく、管打ち用として新規に製作されたものと考えられます。 引金は真鍮製の透かし形で、用心金が設けられています。 芝引金具は剣形 (篠垂形) です。胴金後部金具は髭面の兜武者形となっており、当時ではとてもウィットに富んだデザインと思われます。
本品は在銘で、筒 (銃身) の下面には「淡路国住人龍心子義次造之」の銘が切られています。 龍心子義次は銘文から淡路国の鉄砲鍛冶で、「全国鉄砲鍛冶銘鑑」P.304及び「全国鉄砲鍛冶銘地域別分類」P.◯◯に掲載されています。
銃身に銘の部分の右上に「惣巻張」と入っており「鍛えた地鉄を、銃身となる部分全てに巻いて張って作ったもの」という銃身の作り方を明記してあります。 銃身の作り方で簡単なものから半巻張・一重巻張・二重巻張・三重巻張などの種類がありますが、「惣巻張」は手の込んだ作りと言えます。「惣巻張」の「惣」は「総」の書きかえ字で、「すべて」「みんな」を意味します。 筒全体 (すべて) に良く鍛えたリボン状の板を巻張した作りの事です。 他に「半巻張」「一重巻張」「二重巻張」「三十巻張」「短冊張」「蛭巻張」「鍛巻張」「藤巻張」「鍛惣巻張」「鉄惣巻張」「鍛二重巻張」「惣鍛二重巻張」「地鉄惣巻張 」「地鉄鍛惣巻張」「地鉄鍛鋼二重惣巻張」など色々な組合せで表記されます。 (MM)
【本個体の説明】
本品の筒(銃身)を含む鉄部は元々は黒錆に覆われていましたが、これは当時の日本における防錆方法であった錆付けによるもので、欧米のようにブルー仕上げがなかった日本では一般的なものでした。 現在はその黒錆の一部を磨いてあります。 銃身にはやや表面錆痕が見受けられるものの、大きな欠損等は見受けられず、概ねしっかりとした状態が保たれています。 銃身上面に施された桐鳳凰図真鍮色絵象嵌についても良好に残っています。 銃身下面の目釘金具と銃床の目釘穴の位置は4箇所とも一致しています。 尚、目釘は付属致しませんが、台締金が一個付いており、これによって台と銃身はしっかりと固定されています。
本銃を当時所持していた人物は本作の出来を考えるとかなり高位の人物であったに違いありません。 その人物が本品を手元においてどのように「庚午事変」を捉えていたのでしょうか? 管打式ではありますが、弊社が取り扱った品の中で非常に独創的な作り十選に入る一挺です。 程度についても時代を考えるととてもしっかりとしています。 是非お手に取って見て頂きたい品です。 (MM)
※【本個体の説明】は現在作成中です。 後日、加筆/訂正が行われる可能性がございます。本品の程度/状態について詳しくは東京店までお問合せください。
[本個体各部名称及び形状と有無]
口径: 実測12.8mm (実測)
重量: 3.7kg
銃身: 八角銃身
銃身筋立: 無
銃身装飾: 桐鳳凰図真鍮銅平象嵌
露: 無
柑子: 八角柑子、溝を彫って縁取りしている
玉縁: 銀で縁取った真鍮帯
先目当: タンケン形、突部に銅色を塗っている
元目当: 前方にくびれのある片袖形
センサシ: 3箇所
尾栓: 有(固着)
台: 虎杢を入れた樫と思われる
先台面取リ: 無
目釘座(シノギ目): 真鍮梅花形10箇所
目釘: 合計3本
腕貫ノ穴 (先台輪束穴): 無
台裏墨書: 無
カルカ: 木製
矢袋金具: 真鍮製唐草図
背割: 有、真鍮製千鳥形金具で2箇所留められている
背割飾金具: 真鍮製波濤形
胴金: 真鍮製幅約18mm、後部の金具に繋がるように兜武者図の一部が刻まれている
火挟: 無、火挟があった場所に鉄製撃鉄が取り付けられている
矢ハズ鋲: 鉄製無地円形大型
弾金: 鉄製
火皿: 無
火蓋: 無
雨覆: 無、雨覆があった場所に真鍮製竹形飾板が取り付けられている
煙返シ: 無
楔: 無
胴金後部金具: 真鍮製兜武者形
矢倉鋲: 有
矢倉鋲座: 無
芝引金: 真鍮製波濤形、後端が剣先形
台かぶ飾金具(右): 真鍮製八重菊形
台かぶ飾金具(左): 真鍮銅製桃牡丹形、中央に火消穴
火縄通シノ穴: 無
台かぶ輪束穴: 無
台かぶ火消穴: 銅と銀の重菊座に真鍮製円形
鋲裏座金: 真鍮製梅花形(大型)2箇所と真鍮製梅花形(中型)2箇所と真鍮製梅花形(小型)2箇所
地板: 鉄製
地板尻: 角(垂直ニ切落シ)
カラクリ: 無
疣隠シ: 上面を丸くした矩形
背割端金具: 真鍮製猪目透シ
矢倉鋲裏座: 真鍮製並三梅形
鋼鋲(火縄下ゲ輪): 無
鋼鋲(火縄下ゲ輪)ノ座: 無
用心金: 鉄製、露付
用心金座: 真鍮製、前後ともに花菱形
引金: 真鍮製猪目透シ
引金座: 真鍮製重菊形
ナマコ金: 無
駒型金物: 無
刻印:
【登録証情報】
(種別: 管打式銃砲、全長: 127.7cm、銃身長: 98.8cm、口径: 1.1cm、銘文: 総巻張 淡路国住人竜心子義次造之)
【その他の情報】
昭和60年9月26日に東京都教育委員会によって交付された銃砲刀剣類登録証が付いた完全可動する実物の古式銃です。 無可動実銃ではありません。
本銃は約150年以上前の古い機械物の骨董品であり、高価な品でございますので、出来ましたら現物をご確認の上、ご購入いただけますようお願いいたします。 無可動実銃とは異なり作動する機械物ですので、作動や仕上げの確認をご自身で行われる事をお勧めいたします。 通信販売でのご購入を検討される方は、詳細画像を十分ご確認いただいた上でご注文ください。
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