- 商品番号:8883
国名:日本
種類:中筒/大筒
- 【火縄銃 土州十匁筒 荒石目地唐草文銃身 台ニ「丸ニ四菱紋」金蒔絵 (在銘: 土州住岡儀左衛門正行作) について】
口径が18.5mm (十匁程度) 、全長約1,080mm、銃身長約691mm、重量約7.20kgの中筒クラスの中でも大型で重量感のある軍用火縄銃で、口径から「十匁中筒」若しくは「十匁士 (侍) 筒」、「十匁持筒」と呼ばれます。 威力のある十匁中筒で、実用的で尚且つ色々な装飾と工夫を凝らした見事な品です。
本品は土州=土佐国 (とさのくに: 現在の高知県) で製作された作品で、銃身には「土州住岡儀左衛門正行作」の銘が堂々と切られており、見事な銘ぶりから銘文が真正なのが伺われます。 「岡儀左衛門正行」は「全国鉄砲鍛冶銘鑑」P.60及び「全国鉄砲鍛冶銘地域別分類」P.270に「土州住岡儀左衛門正行」として掲載されている土佐の鉄砲鍛冶の一人で、銃本体も典型的な土佐筒の特徴を持っています。 「岡儀左衛門家」には重行、重光、正行の三名の鉄砲鍛冶が名鑑に載っています。
本品の銃身には荒石目地というゴツゴツとした凹凸のある自然石の表面の形状を表した仕上げが銃床に隠れる部分も含め銃身全体に施されています。 その銃身は後方に向かって緩やかに広がった丸銃身で、上面のみ平坦となった「表一角」と呼ばれる形状となっています。 銃身上部には野趣あふれる唐草文様が施されています。 銃身の先端の銃口部分は八角柑子になっています。 八角柑子の銃口周りには筋立された細い環が施されており、その環の間の八角の各面に円弧を描いた帯が施されています。 八角形の柑子からキュッと絞られて丸銃身となり玉縁まで繋がっています。この柑子は中筒では一般的な形状です。 柑子後ろ約2cmほど丸銃身になっており、その後に両縁が細く、中央は太く筋立された玉縁 (化粧飾りの輪) がかなり高く施されています。 先目当は三角形で後部の一部が少し斜めにカットされた形状です。 三角形の先目当上部後端には銀の粒が焦点を合わせる為に配されています。 元目当は透かし形となっています。 銃身は台 (銃床) に対して3ヵ所の目釘により取り付けられる構造となっており、目釘穴の周りには真鍮製の桜花の飾金具が付いています。 土佐の中筒は通常装飾は控えめとなっていますが、本品は台かぶの両面に貫通した輪束穴 (わっそくあな) があり、その周囲には右は丸型、左は鶴を象った真鍮板で飾られています。 また胴締金の後ろ左側面に獅子の飾りが、輪束穴の鶴と対になった形で配されています。 銃床の中央部は他の中筒と同じように握りやすく大きく角を面取りしてありますが、本品は面取りしてある箇所の下部は丸形に仕上げた特別な造りになっています。 火挟の軸は立体感のある桜花の意匠で飾られています。 カラクリの地板を留める二本の八倉鋲は台かぶ (庵) 上部から差した土佐筒の掟通りになっており、その穴の周りの飾り金具 (2か所) と台かぶ左側面 (1ヵ所) 、下部 (1ヵ所) は目釘穴の飾りと同じ桜花を象ったものとなっています。 銃床の両側面4ヶ所と胴締金後部上方に金蒔絵「丸ニ四菱紋」が合計5ヶ所、銃身後部上方に「四ツ釘抜紋」銀象嵌が施された派手な品です。中筒でありながら、細筒のような飾りを施された品です。 全体的な特徴は典型的な土佐筒の造りになっています。カラクリは蟹目のある内カラクリとなっており、蟹目隠し (疣隠し) は円形で柏紋が中央に配されています。土佐筒の掟通りの鋲穴の無いカラクリの地板や胴金、火蓋、雨覆といった主要な金属部分は全て真鍮製です。火鋏の先端は真鍮製ですが、本体は銃身と同じ荒石目地仕上げの鉄錆地になった非常に凝った品です。 胴金幅14.0mmでこれについても真鍮製で、引金の後ろに真鍮製のナマコ金が付いており、台かぶの握り部分が徐々に細くなった (急に括れていない) 土佐筒の特徴をしています。用心金は設けられていません。 火縄通しの穴と火縄消しの穴は当初からありません。 また特筆すべき点は木部の割れを防止するための太い (直径約17mm) 真鍮栓が矢倉鋲と金蒔絵「丸ニ四菱紋」の前に付けられています。 このような割れ防止策を施した品は初めて見ました。 (MM)
【本個体の説明】
本品の筒 (銃身) を含む鉄部分は古い刀の茎のような黒錆に覆われていますが、これは当時の日本における防錆方法であった錆付けによるもので、欧米のようにブルー仕上げがなかった日本では一般的なものでした。 銃身には僅かな朽ち込みと表面錆が見受けられるものの、全体としては目立った欠損等は見られず、荒石目地仕上げである事から朽ち込みも目立つこともなく良好な状態に見えます。 使用感はありますが、良い時代感もあるので気にならない品で、それ以上の魅力のある品です。 銃身下面に切られた銘については大きくはっきりと残っています。 銃身下面の目釘金具の位置と銃床の目釘穴の位置は3箇所とも一致しています。 尚、目釘は付属しておりません。銃床は気になる破損等は見受けられず、概ね良好なコンディションが保たれています。
カラクリの地板や胴金、火蓋、雨覆といった真鍮部品については、適度な時代が付いた良い雰囲気となっています。 各部の取り付けについてもガタつき等は見受けられません。
カラクリの作動については完全で、火挟を起こした際のロックはしっかりと掛かり、引金を引くと火挟がスムーズに落ちます。 また、火蓋についても閉じた際のがたつきなどは見られず、開閉も問題なく行う事が可能です。 銃身内は銃口から銃身後部まで抜けて (通って) おり、火穴も抜けています。 尾栓については現状は固着していますが取り外す事が可能と思われます。 木製のかるか (さく杖) が付属致します。
本品は土佐中筒の掟に沿った上で、全体に色々な装飾と工夫を凝らした非常に面白い作りとなっています。 作動の良さも含めて見どころの多い大振りで上等な一品です。 土佐の中筒の在銘品ですので、珍しい土佐筒をお探しであればお勧めの一挺です。 (MM)
※【本個体の説明】は現在作成中です。 後日、加筆/訂正が行われる可能性がございます。本品の程度/状態について詳しくは東京店までお問合せください。
【その他の情報】
令和6年4月9日に東京都教育委員会で交付された銃砲刀剣類登録証が付いた、可動する実物の古式銃です。 無可動実銃ではありません。 登録証には「佐衛門」とありますが、現物は銘鑑通りの「左衛門」と読めます。
古式銃は約150年以上前の古い機械物の骨董品であり、高価な品でございますので、出来ましたら現物をご確認の上、ご購入いただけますようお願いいたします。 無可動実銃とは異なり作動する機械物ですので、作動や仕上げの確認をご自身で行われる事をお勧めいたします。 通信販売でのご購入を検討される方は、詳細画像を十分ご確認いただいた上でご注文ください。
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