ストックの長さの話

こんばんは、レナートです。 


弊社、古今東西の長物の取り扱いがあり、一部は壁面ガンラックに並んでいます。 棚の木製ピンをトリガーガード内に通して掛けているので、トリガーからストック後端までの長さの違いがよく分かるんですよね。
今まであまり考えたことが無かったのですが、「ストックって時代や国によって長短あるな~」と思いました。 


このストック後端 (バットプレート) 部からトリガーまでの距離を "Length Of Pull" (以下LOPと略) と言います (上掲のKar.98kだとLOPは33.5cm)。
LOPは簡潔に言うと、安定した射撃を行うために銃に求められる一つの要素ですね。 
(>>Kar.98kはこちら)


以前S氏が「平均身長世界一のオランダ仕様のUZIは木製ストックは長い」という記事を書かれていました。 現代のリトラクタブル・ストックのように体格や装備に合わせてストック長さを変更できない固定ストックでは、銃を生産・使用した国の平均身長なども加味した"LOP"に設計されているものと思われます。
ちなみに、小銃を保持し引き金を引くために重要となる「上肢長」(肩の頂点から手首の骨まで) は、概ね身長の45%に相当するとか。 


各国小銃のLOPを見てみます。 本邦三八式は生産時期によって床尾板 (バットプレート) の形状・厚みが異なりますが、どちらもLOPは34.5cmでした。
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九九式短小銃になると33cmとなり、LOPは僅かに短縮化しています。 理由は不明ですが、後述のSMLEと似たような理由かもしれません。 
>>九九式短小銃シリーズはこちら


M1903は33cmと、当時から大柄の兵隊さんが多いイメージのあるアメリカにしてはLOPはそこまで長くないんですね。 一方、モシンナガンは35cmと、かなり長めに設計されています。 
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>>モシンナガンはこちら



イギリスのSMLEは...割と有名ですが、バット・ストック長がバンタム~ロングまで計4種類あります。 なので立て置きするとトリガーガードの高さもマチマチになります。 SMLEのバットストックはぞれぞれ1/2インチ刻み (11.25 ~12.75インチ) となっており、それぞれLOPは
ショート (S):約32.3cm
ノーマル (無刻印):約33.6cm
ロング (L):約34.9cm
バンタム (B):約31.1cm
と異なるようです。 
>>SMLEはこちら


広範な版図を持つ大英帝国では、本国兵と各植民地兵の体格差があり、当初は「S、N、L」の三種類が用意されていました。
そして第一次世界大戦の勃発により多く人員を動員する必要に迫られ、今までの徴兵基準には満たない身長の方向けに「バンタム」仕様のストックが生まれたそうです。 (元鉱山・炭鉱労働者、若年層の志願兵などで構成された「バンタム大隊」がありました)。
 
先述の九九式短小銃のLOP短縮化も日中戦争の激化により、1937年以降は兵役法の最低身体基準が (身長1.55m→1.5m) に変更されたことに関係している...気がします。 


番外編ですが、コンパクトなサブマシンガンのLOPは短そうな印象です...Vz.61は32cm、Wz.63は40cmもありました。
意外とLOPはボルトアクション小銃とあまり変わりなく、さらにもっと長い例もあるんですね。 
>>Vz.61はこちら
>>Wz.63はこちら



さらにLOPがも~~~と長い例もあります。 トンプソンです。 モデルによって異なりますが、M1928A1の場合は約44cmもあり、正直構えにくいんですよね...。 ということで、色んな銃のストック、LOPについてでした。
次回はトンプソンのストックがなぜこんなに長く設計されているのかについてお届けします。 それでは~
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