- 商品番号:K10247
国名:日本
種類:中筒/大筒
- 【火縄銃 阿波十匁中筒 (在銘: 鍛二重巻張 阿州國友幸蔵皆中)について】
本品は阿波筒 (阿州筒) と呼ばれる阿州 (=阿波国、現在の徳島県) で製作された火縄銃です。 江州国友から阿波に移住したと考えられる鉄砲鍛冶によって作られた中筒で、阿波中筒の掟からやや外れている点が興味深い品です。 阿波筒は細筒であればかなり特徴的なので、一見して阿波の鉄砲であることが判りますが、中筒~大筒に関しては現存品も少なく研究があまり進んでいません。 しかしながら、阿波の中筒/大筒にもはっきりとした特徴があります。 細筒と同じく銃身が肉厚で銃身の太さに比べ口径が小さい点です。 更に他国の中筒では丸銃身の上部一面だけが平らな「表一角」が多いのに比べ、八角銃身であり八角柑子を持つ品が多いこと、照準器に特徴があり、元目当ての形状は阿波中筒定型の凝った「透かし袖形」であること、銃床後部 (台かぶ) 部分が大きく短いこと、台 (銃床) は明るい色合いが多く、中筒であっても虎柄の縞目がある品もある事などが挙げられます。 本品にはこれらの掟から少し異なる特徴を持ちます。
本品は阿波筒にすればスマートな中筒で、重量が約6.2kgです。 特筆すべき点として、阿波中筒の特徴とも言える「台かぶが特異なほど太く、通常の中筒とは大きく形状が異なる」のではなく、普通に右手で握ることもできる太さである点です。 阿波の典型的な射撃法 (流派) とは異なると思われます。
筒 (銃身) は八角銃身で、上面は平らですが上面に隣り合う二面は中央が膨らむように少しアールが付いています。 先目当は杉形で、元目当は阿波中筒で見られる典型的な「透かし袖形 (片透かし)」よりは「片袖」に近い形状です。 銃床は阿波筒で多く見らえる虎模様など人工的な模様は入っていない、明るめの色味の木材を使用しています。 カラクリは蟹目アリ内カラクリで、疣隠しは「六角形ニ六角星透シ」です。 阿波筒の中筒に疣隠しがあるのは珍しく、このような形状の疣隠しは弊社では初めて見ました。 通常はナマコ金が付いている場合が多いですが本品には付いておりません。
本品は在銘品で、銃身下面に「鍛二重巻張 阿州國友幸蔵皆中」と入っています。「國友幸蔵皆中」については、「全国鉄砲鍛冶銘鑑」P. 112及び「全国鉄砲鍛冶銘地域別分類」P. 310にその銘が掲載されています。 名前からわかるようにこの鉄砲鍛冶は江州国友から阿波に移住した鉄砲鍛冶だと思われます。
徳島藩祖の蜂須賀家政は鉄砲に力を入れ、火縄銃が日本に伝来してから大凡そ80年後の寛永四年 (1627年) に書かれた「幕府隠密の偵察記」には、「蓬庵ふだん鉄砲の者ほど役に立つ者無之候とて、大勢御扶持候由、鉄砲の数二千の上有之、鉄砲頭一人に二十人、三十人宛御預け、頭七十ほど御座候由」と記して鉄砲の重要性を説いています。 藩内の鉄砲鍛冶を奨励すると共に江州国友から鉄砲鍛冶を招いており、本鉄砲鍛冶もその一人と思われます。 本作品は阿波中筒の掟には沿っておらず、それが砲術流派の違いなのか、国友出身の鉄砲鍛冶による違いなのかを調べることは今後の課題となることでしょう。 (MM)
【本個体の説明】
本品の銃身は一度仕上げ直しをされてオリジナルのような防錆の錆仕上げが施されています。 銃身表面に極僅かな朽ち込み痕が見受けられるものの、全体としては目立った欠損等は見られず、しっかりとした状態が保たれています。 銃身下面に切られた銘についてもはっきりと確認出来ます。銃身下面の目釘金具の位置と銃床の目釘穴の位置は3箇所とも一致しています。 目釘は2本付属しております。
台木 (銃床) については、若干の打ち傷の他、床尾後端に床尾を地面等に置いた際にできる凸凹としたアタリ傷がありますが、時代を考慮すれば非常に良好な状態が保たれています。 カラクリの地板や胴金、雨覆、火蓋、火鋏、引金といった真鍮部品については、適度な時代感が付いた良い雰囲気となっています。 カラクリの作動については完全で、火挟を起こした際のロックはしっかりと掛かり、引金を引くと火挟がスムーズに落ちます。 火蓋の開閉についても問題なく行うことが可能です。 銃身内は銃口から銃身後部まで完全に抜けて (通って) おり、火穴も抜けています。 尾栓については現状固着しており、取り外しは出来なくなっています。 木製のカルカ (さく杖) が付属いたします。
阿波国に移住した国友鉄砲鍛冶の優品です。 (MM)
[本個体各部名称及び形状と有無]
口径: 実測18.3mm (実測)
重量: 約6.2kg
銃身: 八角銃身
銃身筋立: 無
銃身装飾: 無
露: 無
柑子: 控えめな盛り上がりの八角柑子
玉縁: 無
先目当: 杉形
元目当: 透シ袖形
センサシ: 3箇所
尾栓: 有(固着)
台: 桜のような木目の硬木
先台面取リ: 有
目釘座(シノギ目): 無
目釘: 合計3本
腕貫ノ穴 (先台輪束穴): 真鍮製管
台裏墨書: 無
カルカ: 木製
矢袋金具: 無
背割: 無
背割金具: 無
胴金: 真鍮製幅約13mm、下面と両側面に3面の面取
火挟: 真鍮製
矢ハズ鋲: 真鍮製無地円形小型
弾金: 無
火皿: 鉄製
火蓋: 真鍮製
雨覆: 真鍮製
煙返シ: 無
楔: 真鍮製一節竹
胴金後部金具: 無
矢倉鋲: 無
矢倉鋲座: 無
芝引金: 真鍮製剣先形
台かぶ飾金具(右): 無
台かぶ飾金具(左): 無
火縄通シノ穴: 無
台かぶ輪束穴: 真鍮製管
鋲裏座金: 真鍮製桜花形3箇所
地板: 真鍮製
地板尻: 角(垂直ニ切落シ)
カラクリ: 蟹目アリ内カラクリ
疣隠シ: 真鍮製六角形ニ六角星透シ
背割端金具: 無
矢倉鋲裏座: 無
鋼鋲(火縄下ゲ輪): 無
鋼鋲(火縄下ゲ輪)ノ座: 無
用心金: 無
用心金座: 無
引金: 真鍮製舌形
引金座: 真鍮製矩形
ナマコ金: 無
駒型金物: 無
刻印: 無
【登録証情報】
(種別: 火なわ式銃砲、全長: 103.6cm、銃身長: 75.4cm、口径: 1.9cm、銘文: 阿州國友幸蔵皆中)
【その他の情報】
昭和47年2月17日に東京都教育委員会によって交付された銃砲刀剣類登録証が付いた完全可動する実物の古式銃です。 無可動実銃ではありません。
本銃は約150年以上前の古い機械物の骨董品であり、高価な品でございますので、出来ましたら現物をご確認の上、ご購入いただけますようお願いいたします。 無可動実銃とは異なり作動する機械物ですので、作動や仕上げの確認をご自身で行われる事をお勧めいたします。 通信販売でのご購入を検討される方は、詳細画像を十分ご確認いただいた上でご注文ください。
- 詳細画像





