- 国名:日本
種類:中筒/大筒
- 【火縄銃 紀州十一匁中筒 (在銘: 土佐藩工早川正光作)について】
口径が実測19.5mm (十一匁程度)、重量約5,60kgの中筒クラスの中では口径の割にはやや軽量の軍用火縄銃で、口径から「十一匁中筒」若しくは「十一匁士(侍)筒」、「十一匁持筒」と呼ばれます。
軍用の中筒は一般に六匁筒 (15,8mm)~十匁筒 (18,7mm) 前後で、それ以上は大筒と呼ばれる事もありますので、この分類からでは大筒となりますが、現在は口径以外にも全体的な大きさも加味して中筒、大筒と分けられていますので、本品は全体的な大きさから中筒になります。 大筒の定義は定かではありませんが、抱えて射撃の不可能な五十匁筒 (33mm) 以上の品を通常は大筒と呼ぶようです。
本品は在銘品で銃身には「土佐藩工 早川正光作」の銘が正に堂々と切られており、その見事な銘ぶり銘文が真正なのが伺われます。 立派な「土佐藩工」の銘文から作者は「土佐藩工」であった事が明確に判りますが、本品は紀州=紀国 (きのくに: 現在の和歌山県)で製作された紀州筒の掟に沿った品です。典型的な紀州の中筒です。 作風から紀州の「早川甚之助正光」と同人と思われます。「早川正光」は「全国鉄砲鍛冶銘鑑」P.248及び「全国鉄砲鍛冶銘地域別分類」P.244 に紀州住の早川甚之助正光」として掲載されています。
本品の銃身は後方に向かって緩やかに広がった八角銃身です。 八角柑子の銃口周りには筋立された細い環が施されており、その環の間の八角の各面に円弧を描いた帯が施されています。 この柑子は中筒では一般的な形状ですが、本品の八角柑子は定番ながらも非常に上手な出来です。 八角形の柑子からキュッと絞られて丸銃身となり玉縁まで繋がっています。柑子の後ろ約2cmほどの丸銃身の後に両縁が細く角の立った筋立は見事で、中央は太く筋立された玉縁(化粧飾りの輪)が施されています、これのような目立たない場所も上手で腕の良い鉄砲鍛冶である事が判ります。先目当は中筒としては小さな三角形、元目当は前半分が円弧を描いて低くなり、後ろ半分が筋割となってた紀州独特の形状をしており、これも中筒としては小さく紀州筒らしいです。 銃身は台 (銃床) に対して3ヵ所の目釘により取り付けられる構造となっており、目釘穴の周りにの飾金具はありません。 銃床は全体に装飾は控えめとなっており、火挟の軸は無地の小型の丸型、カラクリの地板鋲の飾り金具(3か所)は桜花の飾りになっている以外は目立った装飾などは見受けられません。 武骨ですが上等な紀州中筒の典型的な造りになっています。カラクリは蟹目のある内カラクリとなっており、カラクリの地板や胴金、火蓋といった主要な金属部分は真鍮製となっています。 断面が角ばった火挟と後部上方半分が緩やかに円弧を描いている雨覆いは鉄製で、雨覆いはマイナス螺子で固定されているのも紀州筒の特徴です。 胴金幅は12?个任后0?金についても真鍮製の三角形に近い舌形で、用心金は設けられていません。引金の後ろにナマコ金が付いており、台カブの握り部分はやや太く、庵のカーブや形状が紀州細筒と似た形状をしています。火縄通しの穴と火縄消しの穴はシンプルな真鍮製の丸型です。 これほど紀州中筒の特徴を持った中筒は非常に珍しいです。(MM)
【本個体の説明】
本品の筒 (銃身) を含む鉄部分は古い刀の茎のような黒錆に覆われていますが、これは当時の日本における防錆方法であった錆付けによるもので、欧米のようにブルー仕上げがなかった日本では一般的なものでした。 銃身にはやや表面錆が見受けられるものの、全体としては目立った欠損等は見られず、概ね良好な状態が保たれています。 銃身下面に切られた銘については大きくはっきりと見事に残っています。 銃身下面の目釘金具の位置と銃床の目釘穴の位置は3箇所とも一致しています。 尚、目釘は付属しておりません。銃床は胴締金の後ろに線状のヒビが入ってしまっている他は気になる破損等は見受けられず、概ね良好なコンディションが保たれています。
カラクリの地板や胴金、火蓋といった真鍮部品については、適度な時代が付いた良い雰囲気となっています。 各部の取り付けについてもガタつき等は見受けられません。
カラクリの作動については完全で、火挟を起こした際のロックはしっかりと掛かり、引金を引くと火挟がスムーズに落ちます。 また、火蓋についても閉じた際のがたつきなどは見られず、開閉も問題なく行う事が可能です。 銃身内は銃口から銃身後部まで抜けて (通って) おり、火穴も抜けています。 尾栓については現状固着していますが外れそうです。 木製のかるか (さく杖) が付属致します。
本品は紀州の中筒の掟に100%沿った作りで、「土佐藩工」の肩書を持った紀州鍛冶の作という面白味がある品です。 作動も含めてコンディションの良く、紀州中筒を捜されている方にお勧めの逸品です。 (MM)
【登録証情報】
(種別: 火なわ式銃砲、全長: 101.5 cm、銃身長70.0 cm、口径2.0cm、目くぎ穴 3個、銘文: 土佐藩工早川正光作)
【その他の情報】
昭和47年9月19日に大阪府教育委員会で交付された銃砲刀剣類登録証が付いた、可動する実物の古式銃です。 無可動実銃ではありません。古式銃は約150年以上前の古い機械物の骨董品であり、高価な品でございますので、出来ましたら現物をご確認の上、ご購入いただけますようお願いいたします。 無可動実銃とは異なり作動する機械物ですので、作動や仕上げの確認をご自身で行われる事をお勧めいたします。 通信販売でのご購入を検討される方は、詳細画像を十分ご確認いただいた上でご注文ください。
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