- 国名:日本
種類:中筒/大筒
- 重量6,60kg
【火縄銃 国友十匁中筒 目出タ尽シ象嵌 (在銘: 江州國友太與助勝正)について】
口径が19.2mm (十匁程度)、重量約〇〇kgの中筒クラスの中でも大型の軍用火縄銃で、口径から「十匁中筒」若しくは「十匁士(侍)筒」、「十匁持筒」と呼ばれます。
銃身には銃口側から照門まで、松木に群れる千鳥と、その中で飛ぶ一羽の鷹を描いた「松千鳥ニ鷹図」が布目象嵌によって表されています。鷹は千鳥に比べて大きく、特徴的な鉤型の嘴から羽の一本一本まで明確に描き分けられています。その目は鋭く、千鳥を狙っているのか、猛々しい佇まいです。狩りのお供になる鷹は武家に馴染み深い動物で、遠くまで見渡す目が本質を見抜き、鋭い爪が幸運を掴むとされ、出世や武威を表す吉祥文様として用いられています。松も年中青々としている常緑樹であることから不老長寿を表す吉祥文様とされており、「松鷹文」は男子の健やかな成長を祝う端午の節句に重用されています。そして照門から尾栓側までは、同じく布目象嵌によって「打ち出の小槌」「鍵」「隠れ蓑」「七宝」「丁字」「宝珠」などを散りばめた「宝尽くし図」が描かれています。「宝尽くし」は縁起の良い物を集めたお祝いの意味を表す吉祥文様で七五三などの祝い事に多用されます。宝尽くしは松や鷹と組み合わせて用いられることも多いため、一本の銃身に2種類の図柄を描いても違和感なく纏まっています。
本品は江州=近江国 (おうみのくに: 現在の滋賀県)国友村 で製作された品で、銃身には「江州國友太與(与)助勝正」の銘が堂々と切られており、見事な銘ぶり銘文が真正なのが伺われます。 「江州國友太與(与)助勝正」は「全国鉄砲鍛冶銘鑑」P.118及び「全国鉄砲鍛冶銘地域別分類」P.130に掲載されている国友鉄砲鍛冶の一人です。 ただし最後の「正」の漢字は非常に読み辛いです。
本品の銃身は後方に向かって緩やかに広がった丸銃身で、上面のみ平坦となった「表一角」と呼ばれる形状となっています。 八角柑子の銃口周りには筋立された細い環が施されており、その環の間の八角の各面に円弧を描いた帯が施されています。 八角形の柑子から滑らかに絞られて丸銃身となり玉縁まで繋がっています。この柑子は中筒では一般的な形状ですが、本品の八角柑子は定番ながらも非常に上手な出来です。 柑子後ろ約2cmほどの丸銃身の後に両縁が細く、中央は太く筋立された玉縁(化粧飾りの輪)が施されています、これも上手です。 先目当は背の高い三角形、元目当は前半分が透かしで後ろ半分が筋割となっており、これも背が高いです。 銃身は台 (銃床) に対して3ヵ所の目釘により取り付けられる構造となっており、目釘穴の周りには桜花の飾金具が付いています。 銃床は全体に装飾は控えめとなっており、火挟の軸は無地の丸型、カラクリの地板鋲の飾り金具(3か所)は目釘穴の飾りと同じ桜花を象ったものとなっています。 基本注文品である中筒の中でも、更に上等な造りになっています。カラクリは蟹目のある内カラクリとなっています。 カラクリの地板や火鋏、胴金、火蓋、雨覆、ナマコ金といった主要な金属部分は全て真鍮製で、火蓋と雨覆以外のそれらの部品全体に波濤文様の片切彫の装飾が施されています 胴金幅は13?个任后0?金についても真鍮製の舌形で、用心金は設けられていません。引金の後ろにナマコ金が付いており、台カブの握り部分が細くなった萩野流の流れを汲んだ形状をしています。台カブには輪束穴(わっそくあな=負革を通す穴)があります。 火縄通しの穴と火縄消しの穴は当初からありません。(MM)
【本個体の説明】
本品の筒 (銃身) を含む鉄部分は古い刀の茎のような黒錆に覆われていますが、これは当時の日本における防錆方法であった錆付けによるもので、欧米のようにブルー仕上げがなかった日本では一般的なものでした。 銃身にはやや表面錆が見受けられるものの、全体としては目立った欠損等は見られず、概ね良好な状態が保たれています。 銃身下面に切られた銘については大きくはっきりと残っています。 銃身下面の目釘金具の位置と銃床の目釘穴の位置は3箇所とも一致しています。 尚、目釘は付属しておりません。銃床は気になる破損等は見受けられず、概ね良好なコンディションが保たれています。
カラクリの地板や胴金、火蓋、雨覆といった真鍮部品については、適度な時代が付いた良い雰囲気となっています。 各部の取り付けについてもガタつき等は見受けられません。
カラクリの作動については完全で、火挟を起こした際のロックはしっかりと掛かり、引金を引くと火挟がスムーズに落ちます。 また、火蓋についても閉じた際のがたつきなどは見られず、開閉も問題なく行う事が可能です。 銃身内は銃口から銃身後部まで抜けて (通って) おり、火穴も抜けています。 尾栓についても問題なく取り外す事が可能です。 木製のかるか (さく杖) が付属致します。
本品は國友中筒らしい鉄味の良い品で、全体に装飾を廃した質実剛健な作りとなっています。 作動も含めてコンディションの良い大振りで上等な一品です、荻野流系統で大型のしっかりとした中筒で在銘品ですので、お値打ちの価格になっています。 (MM)
【登録証情報】
(種別: 火なわ式銃砲、全長: 101.2 cm、銃身長70.2cm、口径1.92cm、銘文: 江州國友太與助□□)
【その他の情報】
令和6年4月9日に東京都教育委員会で交付された銃砲刀剣類登録証が付いた、可動する実物の古式銃です。 無可動実銃ではありません。 登録証には「江州國友太與助□□」となっていますが「江州國友太與助勝」まではハッキリと読め、最後の一文字も「正」のように思われます。古式銃は約150年以上前の古い機械物の骨董品であり、高価な品でございますので、出来ましたら現物をご確認の上、ご購入いただけますようお願いいたします。 無可動実銃とは異なり作動する機械物ですので、作動や仕上げの確認をご自身で行われる事をお勧めいたします。 通信販売でのご購入を検討される方は、詳細画像を十分ご確認いただいた上でご注文ください。
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