国名:日本
種類:中筒/大筒

火縄銃 堺十匁中筒 (銃砲刀剣類登録証付古式銃、降龍図銀象嵌、在銘: 芝辻傳左衛門)(西)

¥1,320,000
商品番号
7513
発売日
2021/04/29
取扱店舗
東京店
在庫
1
英名
Japanese Large-caliber Matchlock Gun
国名
日本
全長
1,050mm
口径
18mm(実測18,7mm)
【火縄銃 堺十匁中筒 (降龍図銀象嵌、在銘: 芝辻傳左衛門) について】
本品は口径が18mm、全長が約105cm、重量約7,8kgの十匁中筒としては重量のある火縄銃で、抱きかかえるようにして射撃をしたと思われます。 軍用の中筒は6匁筒 (15,8mm)~10匁筒 (18,7mm) 前後で、それ以上は大筒と呼ばれる事もあります。 大筒の定義は定かではありませんが、抱えて射撃の不可能な50匁筒 (33mm) 以上の品を大筒と呼ぶこともあるようです。

本品の銃身は西洋の良質な古式銃の銃身に見られる茶色味(Plum brown)がかった美しい八角銃身で、銃口部は穏やかにアールを描いた僅かに広がっており(銃口部外径約39.3mm、銃口部手前の細く括れている部分の外径約34.1mm)、柑子は設けられていません。 銃身は3箇所の目釘によって台 (銃床) に取り付けられる構造となっています。 目当は先目当、元目当ともに筋割となっています。

本品は在銘で、筒 (銃身) の下面には「芝辻傳左衛門」の銘及び「十五」の漢数字が切られています。 「芝辻傳左衛門」は「全国鉄砲鍛冶銘鑑」P.188に掲載されている鉄砲鍛冶の一門で、居住地は名古屋、尾州、播州、阿州、摂州といった記載が見られますが、本品が芝辻傳左衛門のどの人物により製作されたかについては現時点では特定はできませんが堺の注文筒と思われます。 幕末頃の作でしょう。

本品のカラクリは内カラクリとなっており、カラクリの地板金や火蓋、雨覆、胴金等の部品は真鍮製となっています。 尚、大きく上に飛び出した特徴的な火挟は鉄製となっています。 細筒ではこのような形状の火挟を「馬面」と呼んで仙台筒にみますが、中筒では非常に珍しく独特です。引金は三角形の板状で、用心金は設けられていません。 引金後方の銃床下部の銃把部分にナマコ金と呼ばれる強度を増すための真鍮製の部品が取り付けられています。 銃床下部には植物図や「多」と思われる漢字、平仮名の「か」と入った真鍮製の飾り板が取り付けられています。
本品の筒 (銃身) には見事な降龍図銀象嵌が施されています。 火縄銃の象嵌には「打込象嵌」と「布目象嵌」がありますが、火縄銃に施された江戸期の象嵌の多くは「打込象嵌」で薄い「擦り付け象嵌」はありません。 「擦り付け象嵌」が施された品は明治期以降の輸出用である事が多いです。 本品は本職の象嵌師が彫った「深い布目象嵌」が施されています。 象嵌の質が判らなくても「龍の顔」を造形を見ると本歌品かどうかの判別が付きます。 本品の龍は凄みのある顔をしています。

龍図について。
龍は水に潜み、空を飛んで雲を起こし雨を呼ぶ霊力があるとされる想像上の動物です。 古代中国では龍は皇帝の象徴とされ、日本でも縁起の良さや長寿を表すものとして昇龍・降龍図が描かれました。 不動明王が龍の姿になって襲いかかってきた異教徒の剣を飲み込もうとした逸話から龍や龍が巻きつく倶利伽羅剣(くりからけん)は破邪の象徴として武士に好まれ、武具に多く使用されました。 加えて、仏教においては龍は如意宝珠(にょいほうじゅ)を手にしていることによりどんな願いでも叶えることができる神通力を持っていて、それ故に煩悩があり解脱することができませんが宝珠の玉を離せば悟りを開くことができるとされました。 本品は「降龍図」の名の通り、天から地上へ降りていく龍が描かれております。 龍は宝珠の玉を手にしておらず、龍の後方、銃口側に描かれた宝珠の玉を振り返って見ているようです。日本における龍は、中国伝来の仏教における龍が日本古来からあった蛇神信仰を基に、民間の龍神・龍王・龍宮の信仰と混交したために様々なイメージを内包しており「降龍図」に関しても解釈は多岐に渡ります。 本品の降龍図は一風変わっており、解釈の余地がございます。 視点を変えと銃口側に宝珠の玉を配しているところから、鉄砲の玉と宝珠の玉を掛けた洒落も感じられる味わい深い意匠です。(MM)(KK)

【本個体の説明】
本品は全体に古式銃としては非常に良好な状態が保たれており、銃身上面の降龍図銀象嵌が良好に残っている他、銃身下部の「芝辻傳左衛門」の銘についてもはっきりと確認出来ます。 台 (銃床) の内部には銃身と同じく「十五」の漢数字が墨書きにより入っており、尾栓や火蓋、カラクリ金具などにも同じく「十五」と入っています。 また銃身薬室上部には「荒枝付き右三階松紋」を金銀象素銅象嵌を用いて写実的に表しています。 家紋をそのまま使用せず、敢えて手間のかかるアレンジを加えているところから意匠への拘りが感じられます。

筒 (銃身) の鉄部については、全体に適度な時代が付いてやや赤みがかった色合いの良い雰囲気となっており、一部僅かな表面錆痕を除いて目立った欠損等は見られず、銃身各部の角もはっきりと立っています。 銃身下部の目釘金具と台 (銃床) の目釘穴の位置は3箇所とも一致しています。 台 (銃床) についても、若干の打ち傷や極小の欠けを除いて大きな破損等は見られず、オリジナルの仕上げも比較的残っています。 銃床先端部に一部ひびを補修した痕跡が見受けられる他、胴金付近の木部に僅かにヘアライン・クラックが見られますが、いずれも強度的には影響の無いレベルのものです。 カラクリの地板金や胴金、雨覆、ナマコ金といった真鍮部についても、全体に適度な時代の付いた良い雰囲気となっています。 本品のカラクリの作動については完全で、火挟を起こした際のロックはしっかりと掛かり、火挟が起きた状態で引金を引くと火挟が力強く落ちます。 銃身内は銃口から銃身後部まで完全に抜けて (通って) おり、火穴も抜けています。 また、尾栓の取り外しについてもスムーズに行う事が可能です。 その他、火蓋の開閉についても問題有りません。 竹製のかるか (さく杖) が付属致します。
総じてコンディションの良い堂々としたサイズの中筒で、銃身に施された見事な降龍図銀象嵌も相まって、ディスプレイした際に非常に見栄えのする品です。 (KK)

【その他の情報】
昭和45年12月2日東京都教育委員会によって交付された銃砲刀剣類登録証が付いた完全可動する実物の古式銃です。 無可動実銃ではありません。

古式銃は約150年以上前の古い機械物の骨董品であり、高価な品でございますので、出来ましたら現物をご確認の上、ご購入いただけますようお願いいたします。 無可動実銃とは異なり作動する機械ものですので、作動や仕上げの確認をご自身で行われる事をお勧めします。 通信販売でのご購入を検討される方は、詳細画像を十分ご確認いただいた上でご注文ください。
詳細画像