- 国名:イタリア
時代:第一次大戦前
種類:無可動古式銃
- 【P. ベレッタ製城壁銃について】
城壁銃(Wall gun)は英語でamusette又はrampart gunと呼ばれるスムース・ボアの小銃(マスケット)をスケール・アップした大口径の単発銃です。 口径は最大1インチ(25.4mm)まであり、本品の口径は21mmでかなり大型の部類になります。 防御用に使用され遠距離から敵の集団に先制攻撃を仕掛け敵の士気を低下させる目的で使用されました。 小型の大砲に近い性格がありますが、砲に比べ破壊力は低く牽制力に重きを置きました。 兵士が一人で肩撃ちするには反動が大きすぎるので、城壁等の銃眼に固定させて使用したのでWall gunと呼ばれています。 16世紀頃のフリント・ロック マスケットから19世紀中期の管打式(パーカッション)までが主でした。 20世紀初頭ではヨーロッパでは時代遅れになり多くは中国などアジアで使用されました。
本品は19世紀初頭から20世紀初頭に登場したパントガン(Punt gun)である可能性もあります。 パントガンは商業狩猟(Commercial hunters)のために使われた大型の散弾銃で、1度の射撃で大量の水鳥を撃ち落とすために開発されました。 第一次大戦で散弾銃の使用が効果的であったことから防御陣地に配備されました。 本品はイタリアのピエトロ・ベレッタ社製で、単発式のブレイク・オープン型散弾銃をスケール・アップした構造になっています。 イタリアではパントガンを使用した商業狩猟は行われなかったので軍用として用いられたと思われます。 センター・ファイア(通常Wall gunはパーカッションまで)の4ボアの散弾を用いたと思われます。 このような品はヨーロッパでは非常に珍しく、特に本品はイタリアの老舗メーカーであるP. ベレッタ社製であることも大きな魅力です。(MM)
【本個体の説明】
本品は全長172cmと非常に大きく、重量も第一次大戦で登場した対戦車ライフルに匹敵する重いものです。 Pietro Beretta, Gardone Valle Trompiaとベレッタ社のメーカー名と本社所在地である、イタリア北部のガルドーネ・ヴァル・トロンピアの地名が入っています。 トリガー・ガード前方から伸びた大型のレバーを右側にスウィングさせて銃身と機関部の結合を解きブレイク・オープンさせる構造は当時の猟銃と同じで、無可動銃として加工されてはいますが、ブレイク・オープン機能は残されています。 当然薬室は閉塞されていますので装填は出来ませんが、ブレイク・オープンさせると組み立てた状態では確認できないレシーバー上部にある刻印が確認できます。 その部分には「PIETRO BERETTA」「GARDONE」、イタリアのプルーフ刻印である「王冠」と「PB(ベレッタ社のイニシャル)」が二ヵ所、そして「22」の番号が確認出来ます。 19世紀末のイタリアのプルーフ刻印が入った銃は意外と少なく貴重な刻印が確認できるのも嬉しいです。 銃身後部(薬室)両側面(二ヵ所)に「PIETRO BERETTA, GARDONE VALLE TROMPIA」の刻印が鮮明に入っており外部から確認できます。 シンプルな木製のハンドル・ガードは側面から楔で固定されており、これを左から右に抜く事でハンド・ガードを取り外しができ、分解が可能です。 ハンド・ガードと同じ材質でマッチした色合いのバット・ストックのグリップ部分にはチェッカーリングが施されています。 一つの大きな鉄の塊から芸術的に削り出されたレシーバーは僅かに表面的な時代錆が僅かに出ていますがオリジナルのケースハードン仕上げが残っています。 このレシーバー部分だけでも2.2kgもの重量があり、本品は右側面にサイド・ロック・プレートがある右ハンマー(撃鉄)仕様ですが、左ハンマーも追加出来そうな左右対称的なデザインは非常に珍しいです。 レシーバー部分も内側から使用できないように撃針孔の部分を大きくくり抜いた上に内部から更に溶接を加えて完全に閉鎖しています。 銃身にはとても良い感じの時代錆がついており、その中心部には絞り加工仕上げが施されており、更に環状の帯形(リング)装飾も施されています。 通常はこの様な大型銃の単品物はあまり有名でないハンドメイド職人である銃砲鍛冶によって作られますが、本品はイタリアの老舗有名メーカーのP. ベレッタ製でシンプルな構造の中にもP. ベレッタ製である品質が窺えます。 非常に大きく見栄えのする品ですので、コレクション・ルームのシンボルにするにはうってつけの一品で、二度と同じ品は入荷しないと確信できます。 トリガーのテンションはありません。(MM)
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