- 国名:アメリカ合衆国
時代:第一次大戦
種類:レバー・アクション
- 【マーリン M1893 セーフティ・ライフル について】
ウィンチェスター社のModel 1894に似た構造を持った生産開始時期もほぼ同じマーリン社のレバー・アクション ライフルで、この二つはライバルとして語られることが多くあります。 ウィンチェスター M1894のボルトがレシーバー上部が開放されるのに対してマーリン M1893はボルトが右側面上方が開放されるので雨や異物の混入防止には明らかに優位でした。 マーリン社は、それと安全性を結びつけ機関部上部に「MARLIN SAFETY」という刻印を入れてウィンチェスター社に対抗しました。 マーリン社のレバー・アクションの中でM1893は最も人気のあったモデルの一つで1893年から1936年まで100万挺以上が生産されました。
マーリン社の創設者であるJohn Mahlon Marlinは1836年にコネティカット州のWindsor Locks近郊で生まれ、18歳の時にAmerican Machine Works社の見習機械工になりました。 その後コルト社の機械工として働き1863年にはNew Havenのコルト社近くで自身の22口径のデリンジャー型単発拳銃を製造する会社を始めました。Rollin Whiteがパテントを取得したリボルバーのシリンダーのパテントが失効したのをきっかけにMarlinは1870年にはリボルバーも製造するほどビジネスを広げました。 Marlinの発展は後にバラード後装式小銃の生産に携わった事が大きな転機となりました。
バラード小銃はマサチューセッツ州のWorcester出身のCharles H. Ballardが1861年に取得したパテントを元に約24,000挺が民間用と軍用の小銃、騎兵銃、散弾銃を1862年から1873年までの間に生産されました。 その半数が南北戦争時の需要によるもので、ニューイングランドの5社の会社によってバラードのパテントを使った小銃類が製造され、ニューヨーク州のMerwin & Bray社を通して販売されました。 バラード自身は工場も持っておらず製造と販売共に他社に頼っていました。Marlinはその内の1社に過ぎませんでした。 1873年にアメリカを襲った世界恐慌によってバラードは破産し、全てのパテントと部品の在庫、そして土地もニューヨーク州の武器商人であるSchoverling and Daly社によって買い取られました。 これを契機にMarlin社のみが製造権を手に入れ、Marlin-Ballard 小銃として生産が再開されました。 バラード社の権利を手に入れたSchoverling and Daly社が販売を担当し大きな成功を両者にもたらしました。
1881年にはMarlin Firearms Companyとして法人化され、Marlin Model 1881 レバー・アクション ライフルの生産を開始しました。 ウィンチェスター社より先に.32-40弾から.45-70 Government弾までの大口径弾が発射可能なM1881 ライフルを1881年から1892年まで約20,000挺が生産しました。 引き続きMarlin-Ballard小銃も単発銃の時代が終わる1891年まで生産され、Marlin社製のMarlin-Ballard小銃は品質と命中率の良さで定評がありました。M1881 ライフルはAndrew Burgessのパテントを主に開発され、その後ウィンチェスター社の長年のライバルとしてレバー・アクション ライフルの開発を競う事になりました。 M1893 ライフルは先に成功したM1881 ライフルの後継機種として1893年から生産が始まりました。 (MM)
【本個体の説明】
本品はシリアル??103358から1894年製の初期生産品であることが判ります。 19世紀末の辛うじて西部開拓期に製造された品と言えます。 シリアルNo.は他のM1881からの連番となり、10万台でも製造開始から二年目になります。 口径は最もポピュラーな.38口径 (.38-.55Win.弾) で、銃身長は26in.のラウンド (円形) バレルです。 機関部上部の「MARLIN SAFETY」の刻印ははっきりと判読する事ができ、銃身中央部には、やや薄れていますが「MARLIN FIRE-ARMS CO. NEW-HAVEN CT. U.S.A. PAT.D OCT.11.1887 APRIL.2.1889.AUG.1.1893」の刻印が見られます。 また、機関部底面にはシリアルNo.103358がはっきりと確認出来ます。
金属部はブルー仕上げが比較的残っていますが、全体に浅く時代錆が広がっています。 しかしながら、ブルー仕上げ自体は鮮やかで、劣化が進行している様子は感じられません。 機関部の一部が小豆色っぽくなっていますが、これも劣化と言うよりは、生産時の微妙な表面処理の差によるものと言った印象です。 傷つきやすいバット・プレートについても、角張った部分の擦れと小さな打ち傷程度で、こちらもブルー仕上げが鮮やかです。 真鍮製のフロント・サイトは薄いブレード型で、歪みなく完全なシルエットが保たれています。 製造された時代を考えると十分良好に保たれた仕上げであり、雰囲気の良い状態と言えます。
木製部分はハンドガードとストックの色味も揃っており、仕上げの艶が大変鮮やかです。 やはり若干の小傷こそ見られますが、傷には時代が付いており周囲と馴染んでいます。 現状目立ったひびや割れは見られず、機関部への取り付けについてもがたつき無くしっかりと固定されています。 バット・プレートは、銃身長と一致したライフル・モデル特有の綺麗なカーブを描いた三日月型で、隙間無くぴったりと合わせられています。
リア・サイトはセミ・バックホーン・サイトで、U字型のノッチは潰れておらず完全です。 照準距離を調節するスライドの動きもスムーズで、小気味良く可動します。 アンダー・レバーはボルトなど他のパーツとの連動していませんが可動し、閉じた際にはキャッチによって遊び無くぴったりと収まります。 銃身のインサートの溶接は銃口付近まで埋まっておりますが、浅いながら銃口から .38-.55Win.弾を使用するライフリングが確認できます。
マーリン M1893 セーフティ・ライフルは、ウィンチェスターとほぼ同時期の製品でありながら、国内輸入数 (国内現存数) が少ない希少品です。 オリジナルのトリガーテンションが有る、ボルトが完全に閉じた状態で固定された旧加工品です。 (YS)(KK)
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