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【TK2634S/D】雲竜文線彫象嵌一貫斎型気砲 (銃砲刀剣類登録証付古式銃、在銘: 江州住 奥村菅次作) |
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価格(税込)
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SOLD OUT |
商品番号
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【8634】 |
英 名
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Japanese made ”Ikkansai-style Kihou”Airgun by Okumura Sugaji |
種 類
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古式銃(登録証付)、古式銃(無可動) 、単発、登録証付古式銃買取品、【TK】 |
国 名
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日本 |
時 代
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第一次大戦前(〜1914) |
全 長
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1,230mm |
口 径
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8mm |
装 弾
数
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単発 |
在 庫
数
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SOLD OUT |
画像について
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画像は現物とは異なります。 |
コメント
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【雲竜文線彫奥村菅次"一貫斎型"気砲 (在銘: 江州住 奥村菅次作)について】
江戸時代後期に日本で製作された空気銃を「気砲」と呼びます。 一貫斎が書いた文政元年(1818年)の手記の文中には「風砲」とあり、「風砲」とはオランダ語の「ウインドルウル」の直訳から命名されており、一貫斎は後に「気砲」と改めました。
本品の銃床(先台)の裏に墨書きで「江州奥村菅次作」とあり、奥村菅次が製作した気砲と文献ではされています。
本品は一貫斎型の機構を持つ口径が8mmの気(風)砲です。 全長が1,230mm、銃身長が742mmと細っそりとした大名道具と呼ばれるような優雅な作りです。 前半分は國友系の上質な火縄銃に良く見られる作りの良い品です。 本品の銃身は八角銃身で、銃口部には丁寧に作られた八角柑子が設けられています。先目当はたんけん形、元目当は筋割のバリエーションとなっています。 上等の火縄銃と同じ材質の銃床ですが先台の中間から前に一段薄くなった凝った作りです。機関部は真鍮製で緻密な雲龍文が施されています。 雲竜文様は線彫で奥村菅次の技量の高さが伺われます。 機関部右側面は鉄錆地でそこに鉄錆地の撃発機構が付いています。 狐と呼ばれる撃鉄相当部分の目には象嵌が施され、カラクリを覆う部分には高彫の雲龍銀真鍮象嵌が施されています。
「気砲」の原型はオランダ製の銃工Scheiffel A. Graveが作った品で国友藤兵衛能当(一貫斎)が模作し、その後日本独特の進化を遂げました。 しかしながら当時でも非常に高度な技術を要した品で一般の鉄砲鍛冶には作ることは出来ず極少数の鉄砲鍛冶によって作られました。一貫斎の他に、摂州堺の鉄砲鍛冶 芝辻長左衛門保敬、信州松代藩の鉄砲鍛冶 片井京助直徹、信州松代藩の鉄砲鍛冶で発明家 佐野三郎常忠など銘がある気砲が現存しております。 本品の作者奥村菅次もその一人ですが、他の作者は皆が鉄砲鍛冶であるのに対して奥村菅次のみが金工師でした。気砲の国内現存数は、30挺以下で、殆どが靖國神社遊就館、東京国立博物館、香川県立博物館、国友鉄砲の里資料館、松浦史料博物館、トヨタコレクション、真田宝物館、神戸市立博物館、種子島総合開発センター鉄砲館、自衛隊武器学校など著名な博物館の収蔵品となっており、個人蒐集家の手元にある品は数丁と言われています。 常設展示をしている博物館(自衛隊武器学校は除く)無く、企画展若しくは特別展の際のみに展示されるほど希少な品です。 海外ではフランスのパリにあるMusee de l'Armee等にあります。
奥村菅次寿景(おくむら すがじ としかげ)は近江國膳所藩内の湖を一望する景勝の地に居「晴好雨奇亭」を構えて多才さを伺わせられる各種方面(主に金工、彫金、カラクリ細工)の作品を多く作りだしました。 現在でも滋賀県大津市中庄1丁目に「晴好雨奇亭」の碑が残っています。 碑には「奥村菅次寿景(1788〜1840)膳所の名金工師初代菅次は湖東目川出身。湖を一眸する景勝のこの地に居を構え、金銀銅鉄器類をはじめ櫓時計、鉄砲などを製作した。頼山陽、貫名海屋なども屡々来遊し、山陽は晴好雨竒亭と名付け額を揮毫して与えた。五十三歳で病歿し唯伝寺に葬らる。墓誌は海屋の筆」とあります。
気砲を日本で初めて作った国友藤兵衛能當(一貫斎)と同時期(天明8年[1788年]生、天保11年[1840年]没)に生き53才で没した天才的な金工でありカラクリ細工職人でした。 文化6年に22才の時に近江國膳所に来て最初は中庄伊勢屋町の東端に居を構え、治金を生業として刀装具(鍔、縁頭、小柄など)を作り名を上げました。 その作品は緻密なうえ意匠斬新非凡であり菅次細工と称して有名でした。 親子二代共に金工師(彫金師)でありカラクリ職人で二代目菅次のカラクリ細工はパリ万博にも出品されました。 刀装具から釣鐘、象嵌を入れた火箸、歯車を利用した燭台まで作った多才な人物でした。 中でも空気圧を利用する噴水式盃洗器や無尽燈などのカラクリ細工職人としても有名でした。 また滋賀県長浜祭りの曳山(翁山、孔雀山、鳳凰山など)を華麗に装飾する金具(舞台前柱、大虹梁、高欄、破風板などを飾る金具)は菅次を始め國友一徳などとの金工達によって制作され全国各地に残された曳山の中でも篠津神社の御神輿の飾りも菅次の作品として有名です。
このような理由から同じ近江國の國友の鉄砲鍛冶やカラクリ職人とも交流があり、構造的に一貫斎型と呼ばれる菅次の気砲制作技術は国友藤兵衛能當(一貫斎)から学んだと考えるのが自然です。 奥村菅次の気砲は一貫斎と同じ構造ですが、銃口まで延びた優美な火縄銃型の銃床(先台)を持つフル・ストックである点が異なりますが、これは台師の仕事ですので、気砲本体は一貫斎とほぼ同じです。 機関部本体には緻密な毛彫雲竜文様の線彫が施されており、狐と呼ばれる撃鉄の覆いには高彫の金物に雲竜文様の銀真鍮象嵌が施されています。 他の気砲には毛彫の装飾はあっても緻密な線彫りや象嵌までされている作品は少なく、菅次が腕の良い金工師であった証とも言えます。
カラクリ細工職人として無尽燈(空気圧で油を自動に吸い上げて灯りを10倍以上にする灯火機)なども多数製作しておりポンピングによる圧縮空気圧の原理を熟知していました。 これは構造的に気砲(空気銃)の原理と同じで一貫斎との交流はこれらのカラクリ細工研究者達の間では定説となっていました。 現存する唯一の奥村菅次の気砲は彼と一貫斎の間に交流があった証とも言え、想像の域を超えていますが「雲竜文毛彫奥村菅次気砲」は一貫斎との共作ではなかったと思われます。
*国友藤兵衛能當(くにとも とうべえ よしまさ)一貫斎(いっかんさい)(1778〜1840年)
国友一貫斎は安永7年(1778)10月3日に、近江国坂田郡国友村(現在の長浜市国友町)の幕府御用鉄砲鍛冶職の家に生まれ、日本で初めて自作の反射望遠鏡を使って天体観測をおこなった人物として知られています。 9歳で父に代わって九代目藤兵衛と名乗り、17歳で鉄砲鍛冶の年寄脇の職を継いだ。これをもとに、その解説書として『気砲記』を著し、
一貫斎は文化11年(1814)には、膳所藩に仕えた眼科医の山田大円より、オランダ渡りの空気銃の説明を受け、間もなくその模型の製作に成功していたと言われる。その後、江戸に出た一貫斎は、文政元年(1818年)10月5日に、同様に江戸に出ていた山田大円のところに壊れたまま放置されていた丹後峰山藩主京極高備から大円が借り受けたオランダ渡りの空気銃の修理を依頼され、短期間でそれを果している。一貫斎は作業に当たり、修理した空気銃の詳細なスケッチや記録を残しているが、その性能は彼にとって物足りないものであった。そこで、より性能が優れた空気銃を製作することを思いたったのである。
一貫斎は文政2年(1819年)11月1日より実用の威力を持つ強力な空気銃である「気砲」製作が始め、翌年3月9日に京極高備へ納品された。一貫斎が考案した空気銃は、同時に気砲の使い方を解説した『気砲記』を著して後年に名を残しました。 後には20連発の早打気砲を完成させた。一貫斎は気砲の制作にあたって圧縮空気の原理を理解し、空気の重量を計測した。空気に重さがあることに日本で初めて気付いた人物とされる。
藤兵衛能當(一貫斎)在銘の気砲の現存品が少ないのは共作者がおり、その共作の銘を切った銃が一貫斎型として今日残っているのではないでしょうか。 本品もその一つではないかと強く感じています。(MM)
【本個体の説明】
蓋に「風砲」と朱書きされた木箱に入っており、もし本品が一貫斎との共作となれば「気砲」に改名される前の初期の作品と考えられます。 銃床(ボンベ)のオリジナルの羊革の縫い合わせ目が多少開いていますが、銃を横向きに展示すると下側に来るので殆どきになりません。 後世の手直しが入った生気筒(ポンプ)付。 「江戸時代の空気銃 気砲」P.73-74 所載品
【その他の情報】
平成6年9月27日に大阪府教育委員会によって交付された銃砲刀剣類登録証が付いた完全可動する実物の古式銃です。 無可動実銃ではありません。 登録証には「無銘」になっていますが銃床の先台裏側に「江州住 奥村菅次作」の墨書きがあります。
古式銃は約150年以上前の古い機械物の骨董品であり、高価な品でございますので、出来ましたら現物をご確認の上、ご購入いただけますようお願いいたします。 無可動実銃とは異なり作動する機械物ですので、作動や仕上げの確認をご自身で行われる事をお勧めいたします。 通信販売でのご購入を検討される方は、下記リンクの詳細画像 (Detailed Photos) を十分ご確認いただいた上でご注文ください。 詳しくは本HPのメニュー・バーにある「Ordering Terms (ご注文について)」の「04. 商品の返品について」をご覧ください。
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